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おかえり、ブルゴーニュへのakrutmのレビュー・感想・評価

おかえり、ブルゴーニュへ(2017年製作の映画)
4.1
父の危篤で久しぶりに故郷ブルゴーニュに戻ってきたジャンと、妹ジュリエット、弟ジェレミーの3人兄弟が、父亡き後にドメーヌを経営していく1年間の人間ドラマを描いた映画。ワイン映画は少なくないのでテーマとしての新鮮味はないが、とても爽快で印象的な風景を背景にワイン造りの過程が丹念に描かれていて、セドリック・クラピッシュ監督のワインへの愛がひしひしと伝わってくる。ワインやブルゴーニュの田園風景が好きな人には観る価値が十分にあるだろう。

一方で、「私たちを結びつけるもの」という原題の意味から考えても、ワイン製造(+兄弟愛)を描くのに重点が置かれているために、ストーリーの面ではやや弱い印象も受ける。例えば、ドメーヌの相続税の支払い問題とかジャンと妻アリシアの不安定な関係とか、もっとドラマティックなストーリーにすることはできたはずである。また、フランス映画らしくないハッピーエンドな終わり方も、個人的にはやや不満が残る。でも、ワイン製造に目を向けさせるために、クラピッシュ監督は敢えてそうしなかったのだろう。なので、フランス映画が苦手な人たちにも気軽に楽しめる映画であると思う。

俳優としては、ジュリエット役のアナ・ジラルドが印象的だったし、『メリッサ・P』でも綺麗だったマリア・バルベルデが良かった。セドリック・クラピッシュ監督も、2年目のワイン収穫の労働者役として出演している。
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