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mid90s ミッドナインティーズのSのネタバレレビュー・内容・結末

4.5

このレビューはネタバレを含みます

兄貴にやられていながらもそのスタイルに憧れるスティーヴィー。不良がイカして見えるんだよね。その気持ちは正直わかるタイプなのもあって、映画自体もかなり刺さった。いいか悪いかはともかく自分の考えを持って大人にも歯向かう強さがかっこよく見える。
否、兄貴はそんなワルではない。スティーヴィーがつるんだ連中より一歩引いた存在のよう。弟に暴力を振るったりするけど、家族と食事してるし飲酒もしてなさそう?だし弟のことを相当気にかけている面もあって優しい。ドラッグを飲用しちゃったスティーヴィーに泣き叫ぶのは愛でしかない。
スティーヴィーがドキドキしながら不良の仲間に入ってからの数ヶ月だけの話。でも、成長著しく多感な時期の彼らは短い時間で親密な関係を気づくこともあれば崩れる関係もあった。脆くて儚くて、自分の過去とも重なる。この脆さは多くの人が経験してるんじゃないかと思う。いいね。
彼らの非行が良いというわけではないけど、どうしようもない現実と向き合いながらも今を楽しんで夢を見る彼らの青春は今だけのもの。美しすぎる。
ラスト、レイの言葉から観客にその後をちゃんと想像させてくれる。その上で本編は潔く終えていて見事。フォースグレードの映画が最高。等身大の青春を残した映像ってそれだけで価値がある。本編のどのシーンより彼らに流れるリアルな時間と生き生きとした姿が映っていて、彼らは本当に存在したんだと思えた。
スティーヴィーの過ごしたこの時間は、彼のその後の人生のための確かな踏み台になるんじゃないか。あんなこともあったって懐かしくなるんだろうな。母親を悩ませただろうが、あんな青春が羨ましい。

16mmフィルムでスティーヴィーたちの成長を描いたこの青春ムービー、全く世代も国も境遇も違う自分だけどそんなの関係なく懐かしさと共感を感じて愛せる!
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