DJあおやま

mid90s ミッドナインティーズのDJあおやまのレビュー・感想・評価

4.2
たった13歳の男の子が反社会的なコミュニティに身を投じていくショッキングさとは裏腹に、そこにあるのは胸が張り裂けそうになるほどの普遍的な青春神話。社会の規律を守らず、大人に反抗することを美化するわけでないが、そこには少なからず信念があり、青春そのものなんだ。ただのやんちゃなワルたちでないことが仄めかされ、レイがスティーブに過去を語るシーンからぐっと説得力が増した。そこからクライマックスまで心を刺激されっぱなしで、エンドロールでは物語の余白に想いを馳せ涙を流してしまった。
90年代のストリートカルチャーのエッセンスをふんだんに取り入れているのも良く、90年代に青春時代を過ごしていないがどこか懐かしさをおぼえた。兄弟が2人揃ってプレステで遊ぶ姿なんてノスタルジックだし、4:3の画面や16mmフィルムの質感も相まって、本作を青春映画のマスターピースたらしめている。
漠然と悪に憧れていたけどそこに身を投じる勇気のなかった僕は、いまだに僕を見つけられずにいて、常に誰かになりたいと願い続けている。
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