MasaichiYaguchi

リアム16歳、はじめての学校のMasaichiYaguchiのレビュー・感想・評価

3.5
自宅で母親から英才教育を受けていた16歳の少年が高卒認定試験を受ける為、公立高校に初めて行ったことで始まるドラマは、青春の「あるある」エピソードに彩られて明るくポップに展開する。
主人公リアムとその母親クレアが本作の中心になっているのだが、親離れ子離れしていない2人の関係はともすれば際どい「マザコン」物語になりかねないところを、恰も親友のような間柄で描いていて微笑ましいものにしている。
この“相思相愛”の親子の関係は、リアムが初めて公立高校で義足の美少女アナスタシアを見掛けたことを切っ掛けに少しずつ変わっていく。
本作ではリアムが大学に入学して天文学者を目指していることもあり、宇宙の映像が何回か印象的に出てくるが、今まで自宅内ばかりで過ごしていた彼が、色んな星々が煌く宇宙のように様々な若者たちが集う公立高校に行ったことで机上のものでしかなかったこと、初恋や、パーティをはじめとした学友との交流、クラブ活動等の実体験を通して今まで狭かった自分の世界が広がっていく。
そしてリアムが大人へのステップを踏むことによって、母親であるクレアの認識も変わっていく。
パステルカラーを基調とした映像、若さ弾けるようなエピソードてんこ盛りで、笑いやユーモアを交えて親子の成長物語が展開されていて共感を覚える。
無限大の宇宙を流れる永久の時間に比べ、公立高校をはじめとした学生時代はあっと言う間に過ぎ去ってしまうが、その短い時間の愛おしさや大切さが本作から伝わって来ます。