qーp

サンセットのqーpのレビュー・感想・評価

サンセット(2018年製作の映画)
3.2
【日暮】2021年3月、劇場で。

「生き別れになった兄を探す」という話の大筋はあって、一般的な映画のように観客に容易に理解させる脚本で撮ったら特に難しいミステリじゃないんだろうけど、監督に「情報を全て観客に提示する必要はない」という意向があるそうだ。

主人公の周囲の人間はゲームのNPC(ノンプレイヤーキャラクター)──例えばドラクエの村人の様に──物語に関係有りそうで無さそうな情報をつぶやいている。事前知識も無く操作方法も知らない洋ゲーを遊び始めた様な気分(MYSTとかあの時代の)。自分自身の理解力が足りてない面も大きいと思う。

ある一瞬を切り取った芸術である絵画の鑑賞に似ている所もあるのかもしれない。思い返せば暴動や覗き見、命の危険などドラマ的にハラハラさせられ引き込まれるシーンもいくつかあった。

カンヌを獲ったご褒美?でやりたい事をやれて監督は満足出来たという事だろうか。例えば今後ずっとこのタイプの映画を撮り続けたら商業的には成功しないかもしれないし、だとすればそれは監督もわかっている事なのだ。自分のテイストをどれだけ今後の作品に入れ込めるかのバランスの戦いになるから映画作家って大変だと思う。

作り手からすれば映画は予算やストーリー・役者などまちまちだけど、観客にとって時間は平等。同じ2時間越えなら別の映画を見るかな、たまにはいいかもしれないけど・・・

主人公であるレイター家の娘イリスは綺麗だけど、終始眉間にシワを寄せててイライラしてそうで、見てるこちらまで緊張してしまった。

エンドロールでは主演女優はヤカブ・ユーリで役名がレイター・イリス。ご存知の方も多いと思いますが、ハンガリー人の名前は、多くのアジア人の様に「姓・名」の順に表記しますね。大昔に読んだ雑誌のハンガリー紀行の記事で知って印象に残ってます。

監督も姓はネメシュ、名はラースロー(寅さんみたいに言うな!)。スタッフロールも欧米映画と違い左側にずら~っと同じアルファベットの字面が並ぶのが独特。
qーp

qーp