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サンセットのギルドのレビュー・感想・評価

サンセット(2018年製作の映画)
4.5
私が大好きなとあるYouTuberが2016年ベスト映画ランキング7位にノミネートした「サウルの息子」のネメシュ・ラースロー監督の新作と聞いて楽しみにしていた作品です。

 フレーミングと撮影の仕方が独創的で、焦点をキャラクターに合わせて他を暈す・顔をクロースアップした映し方という"狭さ"がこの映画の独自性を引き立てていると思います。
映像で起こる出来事が"背景"として表現され、キャスト陣の表情で読み取るシーンが随所に散りばめた構成でありながらキャスト陣の演技が凄くリアルで臨場感を与えていたし、展開における"間の使い方"・照度の変化・音響の変化・長回しの撮り方などの細かい部分でのエッジでリアルさを表現していて良かったです!そんな映像への拘りが一番の見どころだと思います!

 ストーリー展開はサンセット(日没)の名に恥じない傍観で見える世界の劇的な変化を主人公レイター・イリスから見る構成でアート映画と社会派映画の要素を掛け合わせた作品に感じました。
その中で見えてくる軋轢、組織の成熟に伴う華やかさの裏側のどす黒さ、権力の行き過ぎた濫用の醜悪さ、嫉妬など…決して目に見えない闇にイリスは翻弄される姿は、前述したクロースアップした撮り方によって見えざる脅威として素晴らしく描かれていて映像で魅せる部分が良かったかな。

 何よりも、この映画の世界観を通じてメッセージを享受するのではなく世界から見える"混乱"について解釈を委ねる作りは個人的に好みで素晴らしいと感じました!
激動の世界観に翻弄される第一次世界大戦直前のブダペスト…そんな世界で見える闇はイリスを通じて観客者に浸透し、今を生きる世代で見える世界の軋轢・真実と嘘の玉石混交さにどう向き合うか?と問いかけられた感覚になりました。そんな現代に通じるこの映画の世界の問題提起は、映像面で魅せる信ぴょう性の高さも相まって凄く良いなと感じました。
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