なちゅん

ナイチンゲールのなちゅんのレビュー・感想・評価

ナイチンゲール(2019年製作の映画)
3.5
これからシンガポール経由でNZ、AUSに行こうかという時に見てしまった。
aboriginalの青年ビリーとIrishのクレアのそれぞれの歌が印象的。人はその母語で言葉を紡ぐときが1番美しいと思う。公用語、共通語としての英語があるのは便利だけど、万能語ではないから。

もちろん日本語字幕も英語字幕もないので一言一句ちゃんと理解できたかと言われれば怪しいけれど、この映画の中で描かれる悲しみと憎しみの止めようのない連鎖は十分すぎるほど伝わってきた。うっかりクレアに同情したくなるのだけど、そしてそれは間違った捉え方ではないんだけど、忘れちゃいけないのは、彼女は彼女でビリーを蔑視していること。結局そういう風にして連鎖は続いていくのだ。

イギリスに憧れているからといって彼らが悪事を働かなかったなんて思ったことはないし、オーストラリアが大好きだからといってその歴史を肯定するつもりもない。「イングランド」の行ってきた搾取と彼らが虐げてきた民族のことは忘れてはいけないし、目を背けてもいけない。どこの国だって同じような過去や差別の感覚を持ってるのだし。
にしても、Civiliseという単語が本当に嫌いだな。

好きな俳優が救いようもなく憎らしい悪役を演じているのはなんだか悲しくなってしまうな。感情移入よりも自分の気持ちが上回ってしまう。
なちゅん

なちゅん