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7月22日のhuaのレビュー・感想・評価

7月22日(2018年製作の映画)
3.9
7月22日だったので、観てみようと軽い気持ちだったが、とても重くて苦しかった。

2011年7月22日ノルウェーの首都オスロとウトヤ島で現実に起きた連続テロ事件を描いた作品。

12年前のこの事件を全く知らなかった。
犯人が事件を起こすまでの行動、被害に合う前の子ども達の笑顔、そこから刻々と迫る銃撃シーン、逃げ惑う子ども達。事件後の苦しみ、葛藤、そして法廷シーン。
全てが上手く組み立てられ、恐怖の渦に飲み込まれていく。

犯人の歪んだ思想は微塵も理解できず、ただただ不気味さが残り、怒りと憎しみの感情しか湧かない。
こんな奴の弁護をしなければならない弁護士もかなりキツい。

それでも、重症を負いながら果敢に法廷に証人として立つ少年ビリヤルの姿が、その証言が胸を打つ。
捕まったあとも、法定で主張できることに満足気で、ピザを貪り、日本の刑務所に比べて快適そうに見える独房も気分を逆なでさせられる。
そんな犯人が唯一「孤独で寂しそうだ」というビリヤルの言葉に反応したように思えた。

全てが作り物なら良かったのに。
今もPTSDに苦しむ被害に合った人々が、何とか前を向いて生きていってほしいと願う。

ノルウェーには死刑制度がないが、加害者にも人権があったとしても、単独で77人もの命を奪った人間に、一生自由になってほしくないと思ってしまうのはいけないことなのだろうか。
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