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愛にイナズマのhuaのネタバレレビュー・内容・結末

愛にイナズマ(2023年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

まず、このポスターの2人が誰だか分からず、何度もキャストを確認するほどで、興味が持てず。
しかし、Filmarksの評価がとても良いので観てみることに。

それはともかくとして、面白い切り口の作品だった。
新人監督として奮闘する花子、正夫との出会いの前半と家族との再会と愛の物語を描いた後半。

協力金問題。
アベノマスク問題。
ついでにワクチン問題。
コロナ禍では大量の税金が流れまくったなと嫌なことを思い出したが、先が見えない混沌とした窮屈な時間だったと改めて思う。

本作は、そんなコロナ禍でエンタメが苦境に立たされていた時期が舞台となっている。

「この業界はこれが普通」「これが業界の常識」を口癖のように言うMEGUMIさん演ずる何においても無責任なプロデューサー。
そして三浦貴大さん演ずる助監督がいちいち失礼で、極めつけクズだった。

ありのままの現実を訴える花子をそれはあり得ないと否定し続けていた彼らこそが、ご都合主義で、人の人生も人を陥れることをも何とも思わず、現実の一側面ばかりを見て、現実と全く向き合わずに生きてきたあり得ない存在なのではないか。

自分の夢を叶えるためには、業界にはびこる悪しき慣習に従わざるを得ず、人に合わせて信念も変えてしまう花子が、悪しき人間達に騙され夢を奪われる。
なんとも気分の悪い世界だ。

そして約10年ぶりに家族が再会し繰り広げる、本音でぶつかり合う大喧嘩が面白過ぎて、ずっと見ていたくなるというのも不思議な体験だった。

池松壮亮さんと若葉竜也さんの2人の兄のキャストが秀逸。
実際の年齢は若葉さんのほうが1つ上というのも面白い。

花子は赤に拘っていたが、赤い服を着た父と2人の兄が微妙な表情で並んで座っているシーンが最高に好きだった。

仲野親子の出演も興味深い。
夢破れ命を絶つ仲野太賀さんの落合に、どうしても
『愛という名のもとに』で演じたお父さん中野英雄さんの役を重ねてしまう。

業界に憤ったり、口汚い喧嘩を楽しんだり、家族愛に涙したり、感情の忙しい作品だったが、何にしても正義感のある男達&女が決して嫌いではなかった。
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