上海十月

ROMA/ローマの上海十月のレビュー・感想・評価

ROMA/ローマ(2018年製作の映画)
4.5
アカデミー賞を観て、キュアロン監督が外国語映画賞受賞コメントで影響された映画について「羅生門」をあげている。やはり宮川一夫だとひとり得心。そしてメモリアル(追悼)で橋本忍氏が映し出されてシンクロするなぁと感慨にふけりました。
以下アカデミー前の感想。
明日のアカデミー賞を前に大本命の呼び声の高いローマ。あまりにも評判が良すぎて、見るにあたって、だいぶハードル上げすぎじゃないかと思って言っていたが、評論家の評価は妥当な線かもしれない。ただ、なぜハリウッドのアカデミー賞がこの強力なプライベート映画みたいなものにオスカーをあげようとしてるのかが、ちょっとよくわからない。町山解説では、溝口健二のような映画だと言う言葉があったが、これは両左右へとカメラをパンしていく様子だと思う。どちらかと言うと宮川一夫の世界かもしれない。とにかく白黒の綺麗さが目立つ映画である。犬のフンのシーンがあるんだが、これを見ながら、やっぱり、あんまりカラーでリアルに見せられると、とても気持ちが悪いかもしれない。ただ、白黒だと確かに気持ちが悪いかもしれないけれども、見てられると言う映画独特の表現に白黒映画は、なる可能性があることを今回再認識した。火事のシーンは、それこそ宮川一夫撮影の「炎上」のようだ。話は淡々と進んでいくが明らかにキュアロン監督が過ごした70年代のメキシコ動乱が描かれている。階層差別、男女差別そして対立そして解放と言うのがテーマだと思いました。解放されてく様は、感動します。Netflixでなく映画館で腰を据えて観るような作品でした。「宇宙からの脱出」を観に行く件は、キュアロンに「ゼログラビティ」作らせたんだなと思わずニヤリとさせますね。この映画が本命と言われるようになったところを見るとアカデミー賞は本当に変わってきたのかもしれない
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