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ROMA/ローマのiceblueのレビュー・感想・評価

ROMA/ローマ(2018年製作の映画)
4.3
彼女は自らの痛みに耐え、左側のベッドを見つめ続けた。何が起きているのか不安な気持ちで寝かされたままそちらばかり気にしていた…年若い家政婦クレオの身に起きた残酷な出来事。
口数少ない彼女は様々な想いを胸に秘め、仕事をこなし子供たちを愛し懸命に生きていた…
そんな彼女を見ていたからこそ、あの浜辺の一言の重みが深く深く胸に刺さる、悲しみと安堵に満ちたシーンでした。
   
ユーモラスな車庫入れや元気すぎる犬。
カッコばかりの武術。(あの彼は虚勢を張って生きるしかなく、武道を盾に心を置き去りにしてしまった)
広い家を駆け回る子供たちや街の雑踏、山あいの豊かな農地や山火事の消火など、様々なモチーフやシーンが生き生きと描かれ、すみずみまで鮮明な映像美は見応えがありました。
 
モノクロより柔らかく、セピア色に見えたこの風合いがセンチメンタルを呼び覚まして、洗濯場の泡や水たまりに映る空までも愛おしく、風や光を肌に感じるような瑞々しさが魅力。
勿論それは、スクリーンで観たからだと強く思いました。
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