Hito

ROMA/ローマのHitoのネタバレレビュー・内容・結末

ROMA/ローマ(2018年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

Netflixで鑑賞。
モノクロームの、淡々と進む日常に身を委ねて、心地のよい2時間だった。
これは劇場で観たほうが世界観に浸れてよかったのかも(心地よさの種類が「A ghost story」と同じだった)。

現在臨月のわたしからすると、クレタから妊娠を告げられ「もう二度と来るな、召使いめ!」と叫ぶフェルミンや、民兵として学生運動に参加していたフェルミンに銃を向けられ破水してしまい死産してしまうクレタの姿に、動揺が隠せなかった。

しかし、海水浴から帰る車の中でのクレタの晴れた表情、「今度はクレタの田舎に旅行に行こう!」と無邪気に話す子どもたちに救われた思いがした。

モノクロームの中に、太陽できらめく海の青や、雲ひとつない抜けた空の青を観ることができ、本当に美しい映画だった。
はじまりと終わりのカメラワークも秀逸。

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*宇多丸さんは、オープニングとエンディングについて「地と天、俗と聖、卑近さと崇高さの対比になっていて、飛行機がボーダーを超えていくかのように、クレタが地べたから空を登っていくまでを表している」と言っていて、はじまりと終わりのシーンには、美しさだけでなくメッセージが込められていたのだなぁ!と気づいた。
*町山さんは、この映画について「キュアロン監督から当時の家政婦さんへの、メキシコで先住民や女性が差別されていたことを知らなかったことに対する『お詫びの映画』」だと言っていた。
確かに映画を観ながら、うっすら「雇用主とメイド」という関係性は健全なのだろうか…というモヤ感があったのだが、そここそが彼のメッセージでもあったのか、と思った。
(おばあちゃんがクレタの誕生日やミドルネームを知らない、フェルミンが敢えておそらく一番侮辱にあたる「召使い」という言葉をクレタに投げかける…など。でも実際わたしのフィリピンの親戚の家でも、雇用主とメイドの米は違うなど文化として当たり前だったし、ここの家の奥さんは特にラストに向かってクレタともファミリー感が出てきたのであまり気にしていなかった。)
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