Benito

冬時間のパリのBenitoのレビュー・感想・評価

冬時間のパリ(2018年製作の映画)
3.9
【 パリが舞台のおとなの恋愛群像劇 】

冒頭、ビストロでふたりの中年男が議論しながら、ランチにはテリーヌ、リブロース、ヒラメのアリオリなど食べつつ、でも飲み物は水だったりするが、、そんな場面でも台詞の応酬が続くフランス映画の展開は好き。

話はパリで暮らす2組の夫婦を軸にして、出版業界、政治などに絡む人々を加えてエピソードを重ねた群像(喜)劇。

原題はDoubles Vies(仏:二重生活)で主人公となるセレナ役のジュリエット・ビノシュとアラン役のギヨーム・カネの夫婦によるW不倫劇を示しているのだと気づく、、、

この映画の根底には書籍の発行が減り、そして書店が減り、デジタル化が進み最後は作家・編集者だけが残るんじゃないかという業界の危機感があってリアル。

そして、ロメールの「緑の光線」の様な幸福を予感する後半の展開が好き。

撮影はフランソワ・オゾンの「スイミング・プール」が印象的だったヨリック・ル・ソーが担当。

あと、パスカル・グレゴリーが老舗出版社のオーナーとして登場するのも画面がひき締まっていい。
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