【 勝っても、負けても人生は続く 】
殺陣指導：吉田恵輔
監督は中2のときから30年以上ボクシングを続けていたのだという。リアリティのある拳闘シーンがそれを物語っているし、ワンカットワンカットに愛がある。
映画は'勝った' '負けた’を描くのではなく
夢を諦められない男たちの辛さを描いていて、ドラマチックな展開というより淡々と物語が進んでいく。強き敗者の物語ともいおうか。
ドラマは3人のボクサーによる群像劇。
主役は松山ケンイチ、圧倒的な静の演技。そのひたむきな闘志が滲み出て、かなり痩せた風貌には役づくりへの半端ない努力を感じる。そして東出の苦悶、柄本時生の飄々さ、木村文乃の存在感と役者陣が完璧。台詞も自然なトーンで進んでいくのも印象的でドラマに説得力を持たせている。
映画の半ば、美しいシーンがあった。
東出がトレーニングで土手を走り、
霧のなかに進んでいくショット、凄いね。
