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ラスト・マッチ/ロード・オブ・ボクサーのmaruQのネタバレレビュー・内容・結末

3.7

このレビューはネタバレを含みます

「シンデレラマン」ではラッセル・クロウの友人役だったが、今作はパディ・コンシダイン自身が監督・脚本・主演を務めるボクシングもの。

「イン・アメリカ〜」等で好演を見せている彼だが脇役の印象が強く主演でプロボクサー役と言われてもあまりピンとこなかった。
本編を観始めるとどうやら世界チャンピオンらしいこともわかり益々不安になるが、物語が進むとこの作品は試合のシーンが主題ではないこともわかってくる。

「お前の人生を変えてやる。」と挑戦者が言い放ったセリフは皮肉にも形は違うが的中してしまう。なるほど、この役をやるためなら彼自身が主役を務めるのはわかる。
脳の障害による影響、記憶障害故の家族への接し方の変化、思うようにならない苛立ちなどを見事な演技で表現している。

派手な盛り上がりは無いが家族、友人との関係や障害を負ってからの状況を丹念に描写していて好感が持てる。
しかし、終盤の回復ぶりはちょっと早過ぎないかなとも思う。スピーチするパーティのシーンは自殺未遂から数週間後らしい。そんな短期間であそこまで回復できるのだろうか。

とは言え中々の好編になっているのも事実。尺も長過ぎないのが良い。

ちなみにWOWOWで観たタイトルは「ロード・オブ・ボクサー」だった。「ラスト・マッチ」はDVDタイトル。劇場では未公開。
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