喜田なつみ

ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語の喜田なつみのレビュー・感想・評価

5.0
上はジャケットスーツにベストとネクタイと下はフレアスカートのジョー。そういう時代があること私はあまり知らなかった。
けれど、可愛くて可愛くて、しかたなかかった。これ真似したくなる。

歴史物、とはおもえないほどのスピードで、心に染みこんできた。
さわやかに、温かく、心地よく
わかりやすく。
映画館で、
とてもとても、いい時間をすごしているなぁという気持ちにさせてくれた。
全く知らない時代だけれど、スタイリッシュで、みていてどんどん憧れていくし、楽しそうでその世界観にじくりと染まりたくなる。
そういう映画久しぶりだなぁ、こういう楽しさがあるんだよなぁ、やはり映画館での映画時間がとても好きだととしみじみ思った。

ジョーが沢山作品をかいて、皆で演劇をしてるところ、昔やったことがあってとても懐かしく思った。あぁゆう自由な遊びがいつか、大きな力になるからあなどれないよね。皆がなりきってるところ可愛くて仕方なかった。

自分とはかけ離れた作品を作っていて、批判されるところ。
ぐっと、引き込まれていく。

日常を当たり前でつまらないもの、とすると、
作品の深みは途端に消えてしまう気がする。だけれど、とてつもなく、毎日が当たり前にみえちゃうね。

それは、自然な誰かの死や、災害に出くわすことで、その視点は変わる。
だから、今回コロナが蔓延した今世に上映されたことは、より深い意味を誰かの人生に宿す気がした。

自分とかけ離れた非現実的な部分に憧れてかたどってく人はとても多いし、
それがとてももったいないことだよ。と、この作品では深くわかりやすく描かれていた。

だから作品作り、人生の選択をしていくことに
疑問がある人は観るととても整理されそうな気がする。

自分から見える景色が全て特別なもの。だと知ると、世の中の作品はもっと豊かになるよね。そして誰かの気持ちにすっぽりと、届く方法だとおもう。

そして、がさつでおおざっぱで情に熱い彼女が好きだ。それは誰かにたいして評価されたい。という願望がない、強さにみえた。
しかし、髪の毛を切って泣いてしまうくらい、実は女の子な部分もあり、そのギャップの強さに、引き込まれ
一緒に泣いてしまう。髪の毛切る悲しみなど知らなかったのに、その振りかぶりの大きさで、心丸ごとわかってしまった。

小説は、結末が結婚や、死が産業になっている、という表現があって、とても現代に通じてるような気がした。
生まれる前から元々存在してることを、そのまま受け入れなくてもいいよなぁ、と感じることが多いので、
一個一個自分で考えて迷って選択していく彼女たちが好きになった。  
女性も男性も、誰でも、
あなたの人生誰の物なの?と感じる
選択は世の中に溢れている。

なんだかとってももったいなくみえる。
すみずみまで生ききるには、そういう立ち止まりや、自分だけの答えをみつけたり、細かな選択はかかせない気がしていた。だから、全員好きになっていった。個々に答えをもってること、とっても、大事だと思った。誰も同じ人など存在しないのだから、選択がその分多くてもいいとおもっているから。
それが世の中に合って無くとも、あたたかさを纏えばとてもいいものになる。

その中で生まれる葛藤がとても心揺れて幸せな気持ちになった。

そして、廊下でのダンスシーンは忘れられない。
苦手な社交界に無理して参加する、
以外の道筋があんなに心躍るものならば、
ルールや当たり前にとことん、向き合って、
別のルートを選ぶ楽しさを沢山見いだせそうな気がした。


 
喜田なつみ

喜田なつみ