DJあおやま

ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語のDJあおやまのレビュー・感想・評価

3.8
正直、昨今の女性の過剰なフェミニズム主張にはやや否定的な自分だが、それでも共感しうるテーマが描かれていた。舞台は19世紀のアメリカ、結婚こそが女性の幸せであり、女性だけでは食べていけない、そんな時代。そのため、恋愛と経済力は切っても切れない関係にあり、ロマンスだけでは生きていけない。そんな時代に翻弄されながらも、4姉妹がそれぞれの生き方を見つけていく。きっと誰もが、4姉妹の誰かに自分を重ねてしまうだろう。
恋愛の背景に必ずある経済力という現実のように、大人になれば必ず思い知らされる現実がある。ジョーが口にする“少女時代の終わり”が、胸に響いた。自分も子供時代を懐古すると、どうしてもそれが幸せに映る。あの頃は、楽しいことも悲しいことも家族とともに過ごす。しかし、大人になれば、進学や就職、結婚のため、それぞれ家を出ていく。気づけば、家族全員が顔を揃えるのは、年に数回、特別なときだけ。自分の家族がまさにそうだった。毎日、家族全員で食卓を囲んでいたあの日々は、どうあがいても戻ってくることはないと思うと、無性に寂しさをおぼえることがある。もちろん、これが大人になるということなのだろうが、相変わらず自分は大人になっても家族に執着しているところがある。家族と楽しい子供時代を過ごした人間にとって、大人になるということは、家族と離れ孤独をおぼえることなのかもしれない。ジョーがローリーのプロポーズを断ったことで自身の寂しさに気付くように、大人は愛を求め切り拓いていかなければ孤独なのだ。ただ、恋愛は強制的なものではない。その苦悩をジョーを介して考えさせられた。
美しい衣装を身に纏った、麗しいほどの豪華キャストも印象的。『ミッドサマー』のローレンス・ピューは相変わらずビビットな演技を見せてくれた。そして、エマ・ワトソンは美しく、結婚してからの薄幸さも相まってますます愛おしい。それにしても、ベスが三女で、エイミーが四女だって気づく人って、一体どれだけいただろう。
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