竜どん

ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語の竜どんのレビュー・感想・評価

3.8
世界的名著『若草物語』を映像化。
超有名であるが故多くの方が粗筋を認識されているであろう作品であるが、細やかに表現された衣装や小道具・舞台背景・色彩でアメリカの懐かしき良き時代を再現しつつも、現代的な新解釈・展開構成で魅せる。
冒頭のジョーのNY疾走シーンから、まさか『若草物語』がこう始まろうとは…やるなぁガーウィグ監督(^^)。
全てがキラキラと眩しい少女時代から己の人生を見つめ葛藤する大人時代までを、原作通り四者四様の性格の姉妹達を今をときめく豪華キャスト陣が演じ切る。女性の人生が「結婚」という選択肢のみではなくなりつつある「時代の過渡期」に、「幸せ」とは「愛」とは「自立」とはなんぞやを語り掛けてくる。
ジョーとローリーのすれ違いやベスの病状、重要シーンにややネガティブ展開が多いが、本作品の大きな特徴としての時間軸が前後する構成のおかげで重苦しい場面の連続にならず軽快に鑑賞できる。
元々半自叙伝的物語の本作、主人公ジョーと原作者ルイーザ・メイ・オルコットの人生がクロスオーバーするラストは観客のテンションもアガる監督の手腕が光る秀逸な出来。
女性のバイブルと永きに渡り評される『若草物語』、男の自分にも楽しめました\(^o^)/。

追記
どうにもこうにもエイミー役のフローレンス・ピューがバイタリティあり過ぎて末っ子に見えない笑。病弱で発育不良であったろうコトを鑑みても三女のベス(エリザ・スカンレン)が幼く見えてしまう…というか、自分の中でベスは何故か四女だったり死んだり死ななかったり記憶があやふやだったのだが、調べてみると映像化された作品ごとに結構扱いが違ってたりするのだね。重要な役どころではあるが作り手の感性によって立場が変わっているのは興味深い。

ワープロのない時代に手書きの文章の切った貼ったを繰り返して完成させていたことを考えると脱帽です。昔の長編作家って構成力あるよなぁ。
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