竜どん

プリシラの竜どんのレビュー・感想・評価

プリシラ(2023年製作の映画)
3.5
これ以上無い位にソフィア•コッポラ。

前半は主人公プリシラの多感な少女時代のおとぎ話の様なシンデレラストーリーが中心。…なのだが、徐々に雲行きが怪しくなっていく。エルヴィスとの生活が煌びやかである程にプリシラの想いが空虚感を増していく構成描写は流石。 
エルヴィスとの愛も嘘ではない。彼もプリシラ自身もお互い至らない部分は多々にあるし価値観も違う。不完全であるが故に人の想いが必ずしも人を幸せにするとは限らないことをまざまざと思い知らされる。

「恋と孤独で着飾っていた」
オサレなあおり文句だが、見事に本作テーマを体現している。絨毯を踏む赤いペディキュア•戦いに赴くアイラインなどメイクになぞらえた描写が数多くプリシラの心の変化を如実に表しているのも出色。正に女性監督ならではの視点だなぁと。

全体として淡々と描かれクライマックスらしいドラマは無いけど、ラストの彼女の選択と旅立ちには拍手を送りたい。

追記
ラモーンズやブレンダ•リー、レイ•チャールズ50〜70年代の時代を彩る名曲が楽曲として使われているのはアガる!
プレスリーサイドは楽曲使用を拒んだらしいけど、彼の色が強くなり過ぎなくてかえって良かったんじゃないかと。
『I Will Always Love You』(映画『ボディーガード』ホイットニー•ヒューストンのカバーで有名な曲)。当時プレスリーがオリジナル作曲•歌唱のドリー・パートンにカバーを拒否された本曲がエンディングに使われたのは皮肉も込めてのことなのかね?
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