竜どん

陰陽師0の竜どんのレビュー・感想・評価

陰陽師0(2024年製作の映画)
3.3

夢枕獏の同名原作『陰陽師』シリーズ原案のオリジナルストーリー。若き日の安倍晴明の活躍を描く。

原作小説からして地味目のエピソードが多いのもあってか本作も総じてライト。「陰陽道」や「呪(しゅ)」の超自然的要素を否定し科学的に解釈する若き晴明はまだまだ人としての厚みが薄く生意気で尖り気味。(…にしては、次元を切り裂いたり龍を召喚したりを説明も無くやってのけてしまうので立ち位置が不明瞭なのだが。)舞台も陰陽寮から逸脱することも無く大ボスらしい大ボスも出てこない。後々のことを考えるとメジャーな事件はモチーフに使えないのは分かるけど、もっと風呂敷を広げても良かったと。「事実」と「真実」→「現実」と「無意識」の境界線も分かり辛かった。

晴明と博雅のバディ感は上昇。萬斎晴明版(劇場版前作)が初対面の筈が歴史改編されているもののバランスは良い。
「いつも、簀子の上で、酒を酌み交わしている。」原作者夢枕獏はインタビューで原作中の二人の関係性をそう表している。これから永きに渡り優しい時間を共に過ごすであろうそんなゆるりとした友情を山﨑賢人と染谷将太が好演。博雅の笛の音に救われるに至るエピソードをひとつ挿めていたらもっと共感できたかな。

成長した二人が紡ぐ次作は有りそうな無さそうな?期待。

追記
また山﨑賢人か(『ゴールデン•カムイ』も同じことを書いた気もする…)と思わんでもないが、アクション映画とすると選択肢が無いのかね。お目々パッチリ正統派美男子山﨑晴明が貴族顔の萬斎晴明に成長するのは無理がある気もするが、そこは現代の呪(まじな)い〈大人の事情〉のなせる業w
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