Yuto

ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語のYutoのレビュー・感想・評価

4.4
この映画の雰囲気のこのまま包まれたい、映画の中の世界にそのまま飛び込みたいと思える数少ない素敵な作品に出会えた。
自分の中の懐古主義的な一面がめちゃめちゃに刺激されました。

少女少年時代とは一番芸術的な瞬間なのだろう、大人になるにつれ生きる‘術’を覚えていき、少しずつ芸術性は薄れていくのかも。そして、幼き日々の感覚に取り憑かれるのだろう。だけどそれは決して悪いことではない、大人になって現実を見ることも、幼少期を懐かしむことも。むしろ素晴らしい人間の営みだと思う。
そうして、「自分らしさ」や「幸せ」というものが多様化していき、葛藤し嬉々し、各々が自己を実現させていくのだ。

妥協、羨望、葛藤、それぞれが複雑な感情や状況を抱えながらも、お互いにお互いの価値観を否定せず、それはそれとして自分らしく生きようとするその様が本当に美しい。誰もが正しくも間違ってもいないのだ、だって考え方が違うんだから。
主張することの大事さが増すばかりの現代は少しばかり生きづらい、論理的には正しいのかもしれないけど。もっと光が差し込むときの揺れや、水の流れのように、人の考え方に対して感じられたらと思う。

価値観ゴリゴリって感じじゃなく、「いいんだよ、それで。」くらいのゆるく寄り添ってくれる作品で本当に心地よかった。

衣装とか町並みとか、めちゃ好みでした。欲しいなあと思う服がたくさん出てきた。

邦題は最悪、味付けしすぎ。以上。
Yuto

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