寝るのだいじ

悪の偶像の寝るのだいじのネタバレレビュー・内容・結末

悪の偶像(2017年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

※韓国の胸糞映画「パラサイト(視聴済)」がかなり軽く感じる程なので、視聴は自己責任。

金と地位されあれば守られる、守られなくても美化して「幸せに生きること」が実現できる。格差社会の弱者はどこまでも闇を深く見ることができ、見せつけられる立場にあるのだと感じた。
人の心の重さと複雑さが、苦しいほど描かれていた。

弱者からすれば「貧すれば鈍する」とは逆で繊細で敏感になるようだと、考えさせられる作品だった。
議員はどこまでも自分達の保身の為に動いた。高級な嗜好品である香水は当たり前で、着けていることに無自覚、もしくは相手も着けていて当然とすら思っていた。
弱者である中国人女性は、何をされ、その時に他にどんな要素や手がかりがあったか、隅々まで藁をすがるように探し覚えていた。恨みからくる原動力なのかもしれない。

弱者(事故被害者の父)の味方となる弁護士がいて、手がかりを見つけたところで、どうにもならない悔しさがあった。義父(事故被害者)は息子(事故被害者)の嫁(中国人女性)の過去を知る程に心を痛め、息子がパイプカット済みであるにもかかわらず嫁の妊娠を息子との子だと思うことに徹し、嫁の弱い立場や生い立ちをも全て受け止めていた。
弱者故の苦しみが多くあったり、本人の性格だったり、人に優しく在りたい気持ちが強く表れていた。しかし誰も救ってくれない。

結婚証明書が無いと送還させられるなど、韓国および中国の制度について無知だったので、これを機に調べようと思った。
制度には絶対弱者が出る。
(なんでそんな作りにするんかねって自国でも思う)

社会的弱者が苦しんだところで、見えないところで平然と社会が回っていることへの恐ろしさ。
日本にも同じことが言えると想像する。ましてや映画館やレンタルででも映画を観ている時点で”守られている”。この作品を観ることができない人が、それこそ苦しんでいるかもしれない。