こうみ大夫

37セカンズのこうみ大夫のレビュー・感想・評価

37セカンズ(2019年製作の映画)
4.2
ピーナッツバターファルコンとチャンイーモウの至福のときを思い出しながら。障害をテーマにしながら、絶対に道徳の教科書向きではない映画シリーズ、ついに日本でも誕生という感じ。海外の二つが非常に北野映画だったのに対し、この作品はあまり北野映画してなかった。そこだけが惜しいなと思った。もっと北野映画でよかった。
何より主役の彼女が上手い。ここまで演じる力があることが、この映画を終始支えている。身体を動かすことが難しい脳性まひのテーマにも関わらず、視点というテーマで撮影されたのがとても面白かった。寄りを中心としたカメラワークで、セリフではなく何を見ているかで感情を描く。そこら辺がこの映画はとても丁寧で隙が無い。
しかし言わしてくれ。出会うべきは大東駿介ではなく北野武だった。北野武と出会って旅したら、もうそれはピーナッツバターファルコンどころじゃないよ。
こうみ大夫

こうみ大夫