いとまど

37セカンズのいとまどのレビュー・感想・評価

37セカンズ(2019年製作の映画)
3.8
〜可愛い子には旅をさせよ、エロ漫画家になりたくばSEXせよ〜という流れで始まったロードムービー。
「障害者だから」という理由で諦めてきたものを、SEXをきっかけに様々な自分の可能性を探っていく、生命力に溢れた映画だった。

実際に脳性麻痺をもつ主人公、佳山明さんの存在感が抜群!そして愛らしい笑顔!
タイトルに由来する37セカンズは、生まれた時呼吸が止まっていた時間。
37秒呼吸が止まっていても、人生は続く。
もしも、あと1秒でも呼吸が続いていたら健常者としての人生だったのか?もしも、もしも、という、他者との比較。

中盤「障害者の私でも、好きな人といつか結ばれることは可能なのか?」と問う場面がある。
そこで最高にイカしたデリヘル嬢が「できるも、できないも、あなた次第!」と笑顔で答える。
このシーンが良かった…
自己を過小評価するでもなく、行動した結果があるだけ。それは何事においても、健常者・障害者変わりなく。

アダルトコミック編集長の板谷由美、イカしたセックスワーカー渡辺真起子らの、フラットな目線と姉御肌なところがカッコ良かった。
偏見色の強い職種だから、逞しく生きてて、障害者に優しくできるわけではなく
ああいう強そうな人たちほど繊細で、主人公の弱々しくも明確な意思に共鳴する部分があったのではないかな?とも思ったり。

また、安易なエロやお涙に偏ることなく、世界の広がりを感じさせるような明るいエンディング。

CHAIのポップな曲調、各々の可愛いを肯定していく「NEOかわいい」世界観と合ってたし、軽い言い方になるけど「今っぽい」と思った。可愛い私で今を生きていこうな!!!
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