ダイゴロウ

L'empire de la perfection(原題)のダイゴロウのレビュー・感想・評価

4.1
日仏学院にて鑑賞。
邦題は『完璧さの帝国』。

「映画は嘘をつくがスポーツは誠実である。」
偉大なテニス選手であるジョン・マッケンローのドキュメンタリーかと思ったら、むしろ映画について考察するような内容となっていた。ただ、肝心の伝えたい内容は難しく、恥ずかしながらいまいち理解できなかった…。
それでもマッケンローのプレーであったり、完璧主義ゆえ?の悪童っぷりを多くのカメラを駆使して見せつけられることで、十分な感動を得ることができた。

ジョン・マッケンローは自分が生まれたときには引退しており、直接鑑賞したことのない選手であるが、1984年のシングルス勝率は、未だにフェデラー、ナダル、ジョコビッチなどにも破られていない記録であり、最も「完璧」に近づいた選手と言えるかもしれない。
そんな完璧に近かった84年のマッケンローが数少ない土をつけられた大会の一つがローラン・ギャロス(全仏オープン)であり、本作の舞台となる。
(サーブ&ボレーヤーであるマッケンローが苦手とするサーフェスであり、結局キャリアを通して優勝することができなかった。)

苛立ち、緊張、追い詰められていく感覚と臨場感。
マッチポイントでの彼にとっては難しいとは言い難いはずのボレーミスには思わず声が出てしまいそうになった。

非常に前衛的で美しい、素敵なドキュメンタリー映画だった。