やも

楽園のやものネタバレレビュー・内容・結末

楽園(2019年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

楽園を求めて。
救いのない、悲しい話だった。

佐藤浩二、綾野剛、杉咲花、のトリプル主演。
見応えは十分。

原作者は、「悪人」、「怒り」などを手がけている方。
「怒り」も誤解から罪のない人を疑い、弱いものがその疑いに負けていく、そんなお話だった。

罪のない人を必要以上に責め立てて追い詰める、胸糞な場面もある。
善次郎と豪士がとても可哀想。


この映画は原作となる2つの小説をまとめてつくられたものだそうで。その2つのお話しで起きる事件も、実際に起きた事件を元につくられたのだとか。
豪士が容疑者となった事件は実際に未解決。なので映画でも結局誰が犯人なのかあやふや。

終盤、アイカは生きているような演出もあった。この映画は生きている、生きていない、どちらが正解とかはないと思う。
なので私は、アイカは生きていると信じたい。豪士は犯人じゃないと信じたい。

豪士は弱い人間だけど、困っている人を助けたいと思う心優しい人間だ。紡の笛を割ってしまった時も責任を感じて 車で送り、代金も支払っている。そんな責任感の強い人でもある。

そんな人が、泣いている自分に対して花冠を被らせ、微笑み、手を振ってくれた子に、酷い仕打ちをするだろうか。もしかしたら、東京行きの手助けをしただけなのかも…

それとも楽園と称してあの世へ連れて行ってしまったのか。本人は善意であっても、とんでもない事をしてしまった、と後々気づくのか…

わかりません。

紡は当日、分かれ道で アイカが左へ進み家に帰っていく姿を 気にかけていた。実際描写はなかったけど、アイカと豪士の後ろ姿を見ていたのではないだろうか。
大人になった紡があの分かれ道で アイカと豪士の後ろ姿を見て涙していたのは、紡の想像ではなく、誰にも話せずにいた紡の記憶だったのでは…。だからアイカの祖父に、蕎麦屋の前で豪士が犯人なのか!と問い詰められたとき、きっぱり やってない。と言えずに「わからない」としか言えなかったのでは。

信じたいけど、疑いの要素がチラついて信じきれない。辛い葛藤。


善次郎も、寄ってたかって豪士を悪者に仕立てようとする村の連中の被害に遭う。訳がわからないままに悪者にされ、除け者にされ、心が病んでいく。
どうしてそんな村にいつまでも居るのだろうと思うけど、この場所は最愛の妻との大事な場所だからだったのだろうか。

犬が大好きで、妻が亡くなってもなお、大切に想い続ける心優しい人なのに。
村の連中が 問題の解決よりも、 問題からの回避に必死になるあまり、手頃な人物としてターゲットにされてしまう。この腐った村の連中のせいで、豪士も、善次郎も、こんな心優しい人たちが辛く悲しい思いをし続けて、追い詰められて。

そもそも2回目の少女失踪事件後に豪士の家に殴り込みに行って、家のガラス割ったり家の中荒らしたり…そんなん見たら怖くて逃げるでしょ。傍から見たら家荒らしてるあんたらが凶悪犯だよ。

て、なんだか 怒りのやり場がない、モヤモヤした気持ちになってしまった。

ふぅ。
やも

やも