富田健裕

楽園の富田健裕のレビュー・感想・評価

楽園(2019年製作の映画)
3.4
さて、次は誰を鬼にしようか。

人間ってどうしてすぐに叩ける誰かを探そうとするんでしょうね。
多数派で結党して、長いモノに巻かれて、少数派をこれでもかと滅多刺しにしますよね。
そんなに必要ですか?共通の敵が。
取り返しの付かない事が起きれば世間が味方してくれますものね。
全ては他人のせい、自分以外の何かのせい。
汚いよねえ、生き方が。

「物事には表と裏があるんだよ」という台詞に引っ掛かりを覚える。
確かに、松明に灯って祭で人々を魅了する火もあれば、行き場を失い灯油を被った若者の身を燃す火だってあるでしょう。
だけど、表と裏の考え方って個人的にはとても身勝手だと思うのですよ。
火に罪はないのだから。
火は火以外のナニモノでもないのだから。

不審者は警察に通報します。
そりゃそうだ、その通りだ。
道端で大泣きしている人よりも、その人をずっとスマホで撮影している奴の方がよっぽど不審者だと思うけどね。

さて、人はどちらを不審者として通報するのでしょうね。
富田健裕

富田健裕