楽園のじいのネタバレレビュー・内容・結末

現時点で私にとっては今年のワースト映画です。
瀬々敬久監督の作品はやっぱり私は合わないです。
題材はいつも興味深いだけにとても残念。感染列島の時から変わらない被害妄想全開の展開にただただ気持ちが冷えるばかりでした。

例えば、無駄に攻撃的で感情の起伏の激しい集落の人々。なんであんなに皆さんイライラしてたんでしょうか。

確かにそういう人はいることはいるでしょうが全員がそういう同調圧力にどっぷり浸かって警察の預かり知らぬところで容疑者とみなした人間のアパートのドアを蹴破って不法侵入？無い無い。田舎の人間を馬鹿にしてるか、主軸の配役の「可哀相」を引き立てる為以外の理由が思いつきません。

そして登場人物の描き込みも情報も足りなくて全くその人の背景や人物像が見えません。
紡ちゃんがタケシには割りと容易に心を開いたのは何故？そのキッカケさえ描かれなくて「説明的なセリフは排しました」と言われてもまずわからないことだらけで感情移入できないんですけど。

レオ君逃げ出して警察誰も追いかけない？それもおかしいでしょ。しかもあれだけの事件が起きたのにほんの目と鼻の先のあのY字路にマスコミゼロ？
周辺の取材とかしますよね。

最後これが一番頭に来たのは片岡礼子さんへのリスペクトの無いエロ要員扱い。
復讐するはわれにありオマージュいらないです。これは片岡礼子さんには全く罪は無いです。そのシーンの必要性の問題と愛の無い描き方です。
ちなみに私は映画にエロは不要と思っているわけではないです。
生も性もきちんと描かれるべきだと思っています。そのような文脈で描かれている性的な場面はエロと言う言葉では語られるべきでないとも思っています。
脱ぐべき所で脱いでいるシーンはとても素晴らしいと思うし、演者さんには心から敬服します。

しかし、この作品のこの一連のシーンには不快感しか覚えませんでした。

誤解を受けるかも知れませんが、敢えて言います。
あれだけ美しかった人に年齢相応に衰えた身体（といっても映し方によってはもちろん年齢に対しては充分美しいはずです。片岡礼子さんを貶める意図は全くありません）を晒させるならそれなりの価値のあるシーンにしてほしかったのです。車での無駄な「誤解受ける」シーンからの一連の流れは本当に不快でした。

主題歌は良かったですが、作品とは合いませんでした。新海誠さんのおこぼれに預かりたかったのかと悪くとりたくなってしまったのは作品が合わなかったからでしょうか。

俳優さん達の熱演にスコア1.5です。が、そこも演出的に違和感あったんだよなー。病んでる的な演技が皆さん似た感じでした。