ゆき

ぼけますから、よろしくお願いします。のゆきのレビュー・感想・評価

3.9
忘備録

90代を迎える父と二人暮らす母がアルツハイマー型の認知症と宣告を受けた。
テレビディレクターである娘が手掛けた両親の記録。

ポレポレ東中野では予定が合わず、正月帰省中に地元の映画館で両親と姉と。
「馬鹿になっちゃって」と繰り返すお母さんの頼る側の苦悩も、「あんたの仕事をしなさい」と娘を悟し踏ん張ろうとする父親の苦労もただそれだけを伝えるドキュメンタリーならば観ていられなかったと思う。
「可愛いよ」と言える娘さんの愛情が和ませてくれた一作。
本当の娘さんだからこそ撮ることができた作品だと思う。
一言一言に不自然さがないので本当に胸に刺さる。
差し出したお母さんの手を優しく包むお父さんの手が重なり合うシーンが印象的だった。
娘さんの闘病期間や趣味で活きる表情の瞬間、会ったこともない他人の母をわが母と重ねてしまい涙が止まらなかった。
両親も明日は我が身と踏んだのか、“お願いしますね”と目を合せて一歩踏み出した姿に子供は見守る覚悟をする帰路でした。
ゆき

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