専門職でない市井の人が切り取った、認知症を患った自身の母の変遷。
認知症による記銘力や実行能力の低下を食い止めることは出来ないが、徘徊、暴言や暴力といった周辺症状の軽重は、周囲の人間の関わり方次第、と言われている。
娘や旦那との長年に亘る良い関係性が基盤としてあったからこそ、この作品にあるような自宅での生活の維持が可能な訳であり、認知症の方々の症状の表れ方は千差万別、一つとして同じものはなく。汎用的なスキルを前提として、個々の短くない歴史を踏まえ、どう対応していくのが望ましいのか、専門職のスキル・姿勢が問われる。
そして、家族として何をどのように積み重ねていくのか。いや、この映画に描かれているような、優等生な家族関係を築けていれば良いのだが。
独り身にも、家庭のある身にも、それぞれに思うところのある作品。
