ろーたす

Girl/ガールのろーたすのレビュー・感想・評価

Girl/ガール(2018年製作の映画)
4.6
ララが心から、私は女の子なんだ。と思えるようになる事がゴールである。これが本筋であると思いました。
トランスジェンダーで身体が男性に生まれた女の子がバレリーナを目指す、事がこの作品の本筋でなく、あくまで彼女の気持ちが彼女のありたい形へなれるかどうか。それを目指し、もがき悩んだ結果のこのラスト。驚きこそしましたが、彼女の気持ちは言葉通り痛いほどに分かりました。(計り知れない苦悩があったと思いますが。

本作はほとんどのシーン、カメラはララだけを捉えています。バレエ教室の周囲の様子や、年越しのみんなで囲む食卓。俯瞰的な視点はありません。
しかし、ララを観れば全てわかる。その足を見れば、血もにじむ努力がわかり、その表情を見れば周りからの目線に耐え、望む生活が送れない苦悩が伝わります。
それ程に俳優の方の演技が素晴らしかった。

ララの表情や仕草はかなり女性的。
冒頭から、ララの雰囲気がほんとうに女性的で、身体が男である事以外、まさしく女性であると感じました。

最後に、親の無償の愛。
親が子供に与える愛ほどに素晴らしいものはないと私自身思っていますが、本作の父親のララへの愛情も揺るがないものでした。
大丈夫じゃないからこそ出る大丈夫という言葉に、父親は質問攻めします。もう心配でしょうがないという父親の気持ちが、ララを写すフレームの外からでもバンバンに伝わってきました。
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