椎蕈

グリーンブックの椎蕈のネタバレレビュー・内容・結末

グリーンブック(2018年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

こういう男だけの旅って見てて楽しくなるから大好き。
性格が真逆なトニーとドクが少しずつ仲良くなっていく過程は見ててほっこりしたし、買い出しに行く時にトニーが毎回何かいらないか聞いたり、ドクの話をちゃんと聞く時はラジオの音を下げて真剣に聞こうとしたりと、細かい気遣いの描写が良かった。
毎回ピアノの演奏を陰から聴いていたのも良い。

フライドチキンを食べるシーンがめっちゃ好き。
ここで初めてドクが笑うからこっちも笑顔になった。
タバコの吸い殻や食べた後の物を道端に捨てるシーンがあるのはどうかと思うけど、ジュースの容器を捨てた時だけちゃんと拾わされるのは笑ったし安心した。

舞台が60年代ということもあって、黒人差別の描写が目立つからその辺りは見ていて気持ちの良いものでは無いけど、テーマに沿っていて分かりやすかった。
肉体労働をしている黒人がドクの事を見るワンシーンだけでも、セリフがないのに色んな感情が溢れてきた。

トニーが奥さんに毎日手紙を書いたり、写真にキスをしたりするシーンも奥さんを愛しているのが伝わってきて良かった。
結婚してもお互いに深く愛し合っててほっこりする。
ドクに手紙の書き方を教えて貰う所が大好き。
ラストシーンで奥さんがドクに「手紙をありがとう」って言ったのも良かったし、トニーが考えた文章じゃ無いって分かるのも愛してる証拠って感じがして良かった。
欲を言えば最後にトニーが自分で書いた手紙を奥さんに渡す所も見たかった。

トニーが別の仕事にスカウトされている会話をドクが聞いていて、それを止めようとしたドクに対してトニーが「俺は辞めないよ」って言う所は泣いてしまった。
直前のドクが複雑な表情だったから尚更。
お金の問題だと思っていたドクと、雇われているだけじゃなかったトニーの気持ちが分かる良いシーン。

最後の警官が優しいのも良かったし、トニーの家族の為にドクが運転するのも良かったし、黒人のバーでドクが楽しそうに演奏するシーンも大好き。
そのシーンだけじゃなく、ピアノを弾く表情や手つきは何回も変わってて、演奏でドクの感情を表してるのもしっかりと伝わった。

こんなにいい話が実話なのは最高だと思う。
「最強のふたり」でもそうだったけど、普通の人とは違う対応をしてくれる親友が現れてから人生が良い方向に進む実話は感動する。
泣いたのは1箇所だけだったけど、テーマをしっかり描いてるし、細かい掛け合いが見ていて楽しかった。
めちゃくちゃ好みな最高の映画だった。
椎蕈

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