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グリーンブックのitchyのネタバレレビュー・内容・結末

グリーンブック(2018年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

良い話になるのは明らかな題材。だからこそ最後まで飽きさせずに魅せきるのが難しい。ファレリー監督の導きは鮮やかだ。面白い❗この監督の作品が面白くないわけがないのだけど。

心に残る演技のコーチが言っていた。
「劇薬を飲ませるにはシュガーコーティングをしろ。」
痛いことを聞かせるにはユーモアが必要だ。笑いがあって人は初めて心を開く。

ヴィゴ・モーテンセンの大きな身体からは不器用なキャラクターを想像想像してしまうが、このトニー・リップはとても器用だ。(直情的ですぐに殴ってしまうことはあるが。)そして優しい。それ以外にもある複雑なキャラクターをヴィゴ・モーテンセンは鮮やかに演じきる。
マハーシャラ・アリはちょうどもう一つの出演作品『アリータ』でも見ることが出来るが、降り幅の大きな仕事を見せつけている。Dr.シャーリーは黒人だがクラシック音楽を専門的にし、彼の演奏を聴くことは裕福な白人のステイタスである。彼自身は黒人音楽には暗く、南部では出演者でVIPでも白人のレストランで食事は出来ない。自分のアイデンティティーの安らぐ場所がない。それゆえに自分の部屋を豪華絢爛に飾りたてて自尊心を守らなければならない。そんな揺れる心を身振り手振りなど使わず、心の窓である目からすべてを溢れさせて伝えてくれる。

優しさの詰まった映画だ。
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