アカデミー賞受賞作を、遅ればせながら鑑賞。
今年のアカデミー賞は作品賞にノミネートされた全作品が、何らかの賞を受賞する大混戦だったけれど、その中で作品賞を受賞したのが今作。
1962年、天才黒人ピアニストと、彼のツアーに同行する用心棒として雇われたイタリア系の白人。2人の旅路を描いたロードムービー。
単なる「人種差別」を描いた映画かと思いきや、「人種」で一括りする以前に存在する、各人が抱える「バックグラウンド」に目を向けることを説く。この踏み込みは巧い。内容も的を射ている。ヴィゴ・モーテンセンとマハーシャラ・アリの演技も素晴らしいし、主人公の内面にある「差別意識」を控えめに映す演出も良い。
ただ、ロードムービーで2人の関係性だけにフォーカスをして描くには、些か作品のテーマが大きすぎたか。メッセージをダイレクトに訴えるシーンが散見され、少し説教臭さを感じた。
ロードムービーの良作ではあるけれど、正直なところアカデミー賞の受賞については、票割れした中で無難な今作が安定した票を集めて受賞した結果に改めて感じた。いや、本当に良作と呼ぶには全く違わないのだけど。
