海老

グリーンブックの海老のレビュー・感想・評価

グリーンブック(2018年製作の映画)
4.3
Dear トニー&ドク

貴方達を見つめる僕の眼は、
どれだけ穏やかだったろうと思う。
内から照らす優し気な灯りを、
なんと表現しようと悩む。

「人は心が愉快であれば
 終日歩んでも嫌になることはないが、
 心に憂いがあればわずか一里でも嫌になる。」

そう綴ったのはシェイクスピアだが、
僕は、この旅路を果てなく追いたいと願った。
きっとそれは、当人達は尚更だったろうと羨む。

貴方達は、家であり、暖炉だ。

身体を芯から温めてくれて、
ゆらぐ火に照らされるだけで妙に幸せを感じる。

そして、そこに家族が集まる。

劇的でなくていい。穏やかでいい。
不釣り合いなようで、
心地よく噛み合った会話を見守り、
微笑んでいたい。
ロッキングチェアに揺られるように。


知らないことは、
仄暗い廊下をのぞくように恐ろしい。
きっと呑まれてしまうと、
双方の部屋から決めつけ、籠る。
少し踏み出せば、手は届くというのに。

初めての食べ物も、初めての音楽も、
最初は僅かばかりの勇気がいる。
それは造作もないものと後から知るが、
貴方達が握り合う手も、
きっと、造作もない勇気の結果だろうと信じたい。


永く、心を灯してくれる。
そんな情景に触れさせてくれた、
この出会いに感謝を。

そちらに電話は繋がらないだろう。
手紙ならば、届くのだろうか。

願わくば、この手で直接、渡したい。


P.S. "家族"達にハグを。
海老

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