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グリーンブックのhiroyaのネタバレレビュー・内容・結末

グリーンブック(2018年製作の映画)
4.1

このレビューはネタバレを含みます

"if I'm not black enough, and if I'm not white enough, and if I'm not man enough, then tell me Tony, what am I !?"
この映画のテーマを、「アイデンティティとは何か。誰がどう決めるのか」と解釈した。主人公の天才ピアニスト、ドクは5、60年代の一般的な黒人とはかけ離れた上流階級の白人のような生活を送っているように見える。しかし舞台から離れた瞬間、彼は一般的な黒人として受けいれられる。彼がエンストで農作業をしている黒人たちと目を合わせるシーンで、黒人らからの冷たい視線が印象的だった。原題にもなっている黒人用ホテルガイド"Green book"。彼が黒人であることを強く印象付けるとともに、黒人差別の象徴として扱われている。それでも舞台上では白人から差別されずに受け入れられる。また、家族とも疎遠であるため彼は自分を説明する言葉が見つからず孤独に苛まれていた。しかし、トニーと出会いこの"The world full of lonly people afraid to make the first move"という言葉が象徴するように自身のアイデンティティを見つけていく様が描かれていたと思った。Green bookの登場回数が減っていくにつれ、ドクが自分の主張を強くするようになり、black, white ではなくまずman としてのアイデンティティを取り戻し、そしてラストでのクリパに現れるシーンで人種関係なく自分自身そのものがアイデンティティなんだと一つの答えを示したところにすごく感動した。
わかりやすくかつ綺麗なラストシーンだったのでスッキリ見れるけど少し感傷も残る楽しい映画だった。
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