ゆきゆう

グリーンブックのゆきゆうのレビュー・感想・評価

グリーンブック(2018年製作の映画)
4.2
品位を保て。
でも、耐え続けるだけの戦いから、少しでいいから自由になりたい。

人種差別のテーマが、集団から個人へ転換した印象を受けた。
例えば大統領の執事の涙だと、主役は黒人で周囲にも黒人の知り合いしかいない。
そして彼らはドクの言った様に、品位を保ち、耐え忍ぶことで社会に居場所を与えられた。
だが、耐え続けることの理不尽さよ。どうあっても差別を理解しない輩はいるし、耐え続ければ自分が何に傷ついているのかすら分からなくなる。
不意に爆発したドクの叫びに、耐えられたとしても痛みは無くならないのだと、当たり前のことを思い出す。

だから、ただ耐え忍ぶのではなくて、少し勇気を出して、自分が傷ついていることを認めて、欲しいものを欲しいと言えるように変わっていきたい。
偉大な人間になれずとも、誰かの友人になることの方が自分にとって大事なら、それでいいと思う。
そういう自分の幸福の尺度について、差別を受ける側でも語れるような雰囲気にはなってきたのだろうか。
ゆきゆう

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