ホアキン・フェニックスの笑いに狂気が足りないように感じた。もっと本能的な恐怖を感じさせる深いネガティブな笑いがこの世にはあると思う。本物のピエロの哄笑ってもっとずっと怖い。
想像力なんて大袈裟な言葉を持ちだすまでもなく、こういう世の中ならこういう人間が一人出てきてもおかしくないよね、という順当な映画だった。良くも悪くもジョーカーになるまでの経緯が丁寧に説明されすぎているのかもしれない。
一番現代的な皮肉を感じたのは刑事が言う「笑っているのは演出?」あたりの台詞だった。この皮肉はひどいと思った。
最後に被害に遭うのがデ・ニーロ(『タクシー・ドライバー』!)演じるコメディアンなところに配役の意図を読み取りたくなるけど、仮に狙いがあったとしても露骨すぎて興醒めだなと思いながら冷めた目で視聴した。