照本

ジョーカーの照本のレビュー・感想・評価

ジョーカー(2019年製作の映画)
3.6
ホアキン・フェニックスの演技に圧巻。最初のアーサーとジョーカーとして生まれ変わったアーサーとでは、ただの立ち姿でも全く違う。
前情報として、本作は影響力が大きすぎて色々と危惧されていると聞いてはいたけど、そりゃそうだろうな。何が恐ろしいかって、アーサーが生来の悪人ではないところ。彼の犯した殺人を肯定する訳では無いけれど、彼を狂わせたのは確実に腐った社会であることには違いない。つまりそれは、現実社会で生きる誰にでも、ジョーカーのようになってしまう可能性があるということなんでしょう。映画の中でも、アーサーの犯した罪が発端ではあったものの、街の人々が暴動を起こしたのは全員に同じような鬱憤があったからですよね。
私の知る世界では、アーサーの生きていたような社会は存在してないけれど、この世の中のどこかに確実にあるその世界に住む人々がこの映画を見たら、確かに何をしでかすか分からないかも。
もう一度書きますけど、アーサーは生来の悪人ではないんですよね。元々は母親を愛し、人を笑わせたかった、少し障害を持つただの青年だったはず。でも、人は依代を本当に全て失ってしまったら、狂ってしまうんでしょうね…
考えさせられる映画でしたね。重い2時間でした。
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