照本

シチリア・サマーの照本のネタバレレビュー・内容・結末

シチリア・サマー(2022年製作の映画)
4.4

このレビューはネタバレを含みます

今年観た映画の中で1番好きだったかもしれません…開始5分でなんとなく『好きなタイプの映画だ』と思ったんですが、映像と音楽がとにかく綺麗で主人公2人の顔が綺麗で最高だったからかな。笑
ストーリーも実話と知らずに観たんですが、最初からジャンニが不憫でつらくてずっと悲しかったです…でもニーノと出会って人生が好転してから、明らかに笑顔が増えて幸福そうで、母親との明るいダンスも音楽の歌詞も幸せ満点で…でも私は早い段階で幸せになればなるほどその後の転落に怯えて不安になるんです。ほんと、後半ずっと怖くて…そしたら予想通りの転落で爆泣きしました。あんなにも幸福の象徴で美しかった花火が、まるで2人の時間のカウントダウンのように聞こえてきました。その後のジャンニのリンチは本当に辛くてなんでそんなことするん????と暴れそうでした。
ニーノはどうするんだろう、ってずっと不安視してたんですよ。ニーノはジャンニと違って幸せな家族に囲まれて何不自由なく生きてたわけじゃないですか、実際にジャンニと離れ離れになっても家族仲はいいし…でも前半に流れてた曲の歌詞で、おそらくジャンニ目線だったとは思うんですけど、『君が僕に知らなかったことを全て教えてくれた、君がいなくなったら僕の命は終わる』ってあったので、正直うっすらラストの予想はついてたんですよ。ただ個人的には相手を失ったまま生きるより幸せなまま2人死んだ方が幸福なこともあるんじゃないかと思ってて、どうなるかなあと観てたら。まあ案の定ですね。ただ、最後の最後に余計な言葉とか何もなく、シンプルに2人だけの秘密の場所で過ごして、ただ一つのキスと繋いだ手だけを映して銃声で終わり、っていうのがすごく好みでしたね。人の死に好みとか言っていいのかというのはありますけど…
全体を通して、こんなにも美しくてこんなにも悲しい話があるか?と言いたくなるような映画でした。心に残る映画でした。無理してでも見に来てよかったな…
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