ましろ

ジョーカーのましろのレビュー・感想・評価

ジョーカー(2019年製作の映画)
4.7
見終わった後の余韻がなんだか他の映画を見た時と違って不思議な気分でした🤔

レトロなセットと衣装、映像の色調も光も何もかもが素晴らしかったです!
タバコの煙のあがり方でさえも妙に独特な雰囲気を醸し出しているように感じられ、ゆっくりと、丁寧に、そして確実に進んでいく物語には、終始緊迫感がありました。
カメラワークも素晴らしく、ブレの演出から表現されるサイコパスな迫力もみごとでした!

ホアキン・フェニックスの演技も言うまでもなく素晴らしく、あまりにもジョーカーでした。アーサーの中のジョーカーが開花していく段階で立ち姿が映るシーンは特に、まさにジョーカー!というシルエットと迫力でゾクゾクしました。
細かな表情の変化、仕草、そのひとつひとつから伝わってくる様々な事柄が重く響き、笑い声からは、周りと合わせなければいけない居心地悪さや焦り、病気のせいで抑えられない笑いへの苦しみ、そして開放された心など、様々な感情を感じさせられました。ジョーカーになっていくにつれてアーサーの心がどんどん開放的になっていき、自由な風が吹いているように感じられる、そういった心的な変化の表現が素晴らしく、そして凄まじかったです。
また、そういった細かな心的変化を表現する音楽は劇中ほぼずっと流れ続け、見ているこちら側に様々な感情をかきたてさせます。
演技、音楽、カメラワーク、色、光、構図、様々な面からぐっとひきこまれる感覚がとても心地よかったです。

トレイラーなどにあった、「妄想と現実の境目が分からなくなる」というのがどう描かれているのかとても気になっていたのですが、とても見事でした!
本当に分からなくて途中1人でプチパニックを起こしてました笑

ストーリー構成、音楽、光、色調、カメラワーク、何をとっても本当に素晴らしかったのですが、ダークナイトのジョーカー像が大好物な私は少し物足りなさを感じてしまいました。(前情報で監督もはっきりとほかの作品とは関係ないと言っているのを知っていながらも、やはりちょっとヒース版ジョーカーのような一面を期待してしまっていただけにモヤッとしてしまいました、、笑)
天才的な思いつきと計画から混沌を生み出す、まさにカオスそのもののようなダークナイトのジョーカーではなく、目の前の人を殺すことに開放感と快感を感じてしまっただけのジョーカーというような印象を受けました。
このジョーカーからダークナイトのジョーカーになっていくというふうにも想像出来ますが、出来れば最後にひとつ、ダークナイトのジョーカーのような天才的発想と計画のカオスを生み出す大きな事件を起こして欲しかったなと思ってしまいました。


しかしやはり私のそういったジョーカーというキャラクターへの期待と欲望を無しにすると、本当に傑作だと思います!
素晴らしい映画体験が出来ました😊


映画館の近くにジョーカーのダンスシーンと似たようなとても長い階段があったので、登る必要もないのに思わず登ってしまいました笑

1ショット1ショットそれぞれ全てが素晴らしく、細部までじっくり見たいのでもう一度見に行きたいし、早くDVDが欲しいです笑
ましろ

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