jade

ジョーカーのjadeのネタバレレビュー・内容・結末

ジョーカー(2019年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

ピエロとは悲しみを孕みながらも笑顔で踊るものと表現されがちだが、人には絶対に漏らせないような性癖やどこにぶつけることもできない怒りを笑顔でひた隠すピエロもいるのだ アーサーに対して、笑いを抑えられない病気だとか不憫だとかで同情する必要は全くない この映画は妄想疾患や精神病をメインに描かれているのではない 理解のない世間からの不当な扱い、保身のための裏切り、努力ではどうすることもできない理不尽がアーサーをJOKERにした 妄想は現実逃避のためになされ、電源の落ちたテレビのようにぷつりと覚めたことがただのきっかけになっただけ 骨の浮いた体でもぴんと張ったスーツにくるんでしまえば、しわくちゃの顔も白く青く赤く塗ってしまえば、馬鹿な世間はすぐに本質を見失う 自分を騙し騙し動かし続けてくれた衣装はいつしか人間を騙くらかす仮装に変わった アーサーを見失ったJOKERは、誰でもいい、誰かにアーサーを見つけてほしがっていたはずなのに、見つかったのは皮肉にも馬鹿な世間から、そしてJOKERだった こんな世間なら何もかもぶっ壊れてしまえばいっそ美しいと笑うけれど、アーサーが認めてほしかったのはこんな馬鹿みたいな世間だった 血で無理やり笑顔を作る こんなはずではなかったのに 白い廊下に血の足跡を残しながら踊るJOKERは人を踏みつけて小躍りするピエロそのものだった そこにアーサーはもういない

冗談を言う人、という意味でjokerという名をつけた 顔は白く髪は緑、赤く塗れた舞台衣装、俺はどこで道化になってしまったのか?
 
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