yasu96

ジョーカーのyasu96のネタバレレビュー・内容・結末

ジョーカー(2019年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

一貫して何が妄想で何が事実なのか線引きが難しいストーリー。

バットマンシリーズではお馴染みの悪役で、"ダークナイト"では世界中に強烈な印象を残したジョーカー誕生の物語。

主人公アーサーは様々な問題を抱えている。
・緊張すると笑いが止まらなくなる障害
・精神疾患(入院歴有り)
・母親の介護
上記に加え、ストリートでの暴行・同僚の裏切り・社会福祉の打切り・自身の出自及び生育環境の判明・尊敬するコメディアンからの嘲笑により、その都度狂気を増しジョーカーへと変貌していくアーサー。

アーサーの不遇を過度に描写することにより観客の同情を共感にすり替える事を製作側は意図しているのではないかと感じた。
同情に留まり共感には至らなかった私はアーサーの暴力でカタルシスを得る事もなく、彼の産み出した混沌で1番の被害者となるのは彼の様な社会的弱者ではないかと考え中盤からラストまで冷静になってしまった。

今作のジョーカー(アーサー)は空想がちで感情的な犯罪者で何をするか判らない不気味さが有る。しかし、ダークナイトで感じた高度かつ複雑な計画から窺える冷徹な知的さや、一般的な悪役とは一線を画す行動原理を持ち、全ての規範の破壊を目指す様な狂気を感じる事は出来なかった。
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