ジョーカーのyukiのネタバレレビュー・内容・結末

バットマンシリーズの中で一番好きなヴィラン、ジョーカーの単体作品ということでとても楽しみにしていました。障害と貧困に苦しみながらもコメディアンを夢見るアーサーが、のちにバットマンの宿敵となるジョーカーになるのが最初は想像ができませんでした。
序盤はアーサーの境遇と不運がひたすら不憫で胸が痛くなりました。正当防衛で証券マンを殺してしまったことで、格差社会で不満が鬱屈していた世間が「正体不明のピエロ」を英雄扱いするあたり、いかにゴッサムシティが終わってるかがよく分かります。社会の汚い部分と人間の嫌なところをこれでもかと見せつづけられるので、途中かなりしんどかったです。恋仲になった隣人というのも妄想で、母親の話も嘘だったことがわかり、なにが真実でなにが嘘か分からなくなるアーサーの心境を追体験するような構成もさらにしんどさに輪をかけています。
アーサーがトークショーに出演し、憧れの司会者マレーからからかうようなイジリをされて観客から笑われるところは本当に気分が悪かったし、そこでマレーを撃ち殺した時はカタルシスすら感じてしまったのですが、それは作中での暴動を煽る市民たちと同じ感情なのだと気づいた時はゾッとしました。

広がる貧富の差と変化する社会の中でしわ寄せを受けるのは弱者であるという、時代は違えど現代の問題と通じるものがあり、考えさせられます。アーサーがジョーカーになったのではなく、世間がジョーカーの誕生を望んだと言っても過言ではないでしょう。
…と、ここまで色々思っていたところでラストシーン、精神病院にいるジョーカーが「ジョークを思いついたんだ」と笑うシーンで、まさかここまでのところぜーんぶジョークだったの！？というもう何も信じられないよＥＮＤだったので頭を抱えました😂

心身ともに健康な時に見ないと精神的に悪影響受けそうな重さでした。