甲神山亘

ジョーカーの甲神山亘のレビュー・感想・評価

ジョーカー(2019年製作の映画)
5.0
去年映画館で、年明けにレンタルで、そして今回はwowowで鑑賞しました。
映画館で一回観たときは期待値が高すぎたせいなのかそこまででもなかった印象だったけど観たあとは確かに変な感情が沸き立っていたし、そこから時が経つにつれ、どんどん好きになっていった。
やっぱり本当にいい映画というのは何度観てもオープニングから心を掴まれます。
言わずもがな骨が浮かび上がるほど減量して挑んだホアキンフェニックスさんの優しさと狂気を同時に感じさせる演技が凄まじすぎて圧倒される。

アーサーが温もりと希望を求めている姿を見るととてつもなく切ない気分になる。

そして単純にストーリーとしても芸術としても楽しめる作品だが、それでも色々と考察したくなっちゃうのは間違いない。

個人的な考えとしては、

·電車での殺害もたぶん現実(銃弾の数が多い点だけはアーサーの妄想)で仮面を被った男という報道はただの臆測

·母親ペニーフレックとトーマスウェインとの関係性が掘り下げられるところはちょっと妄想が多そう。(アーサーが母親ペニーフレックから離れたかったから。)

·ペニーフレック殺害、警察からの逃走は妄想で別の事件を報道で見て自分に重ね合わせた?

·冷蔵庫に入るシーンは今まで普通に生きようとしていたアーサーが閉じこもってしまったという抽象的表現

·終盤の生中継射殺、暴動、ブルースの目の前でウェイン夫妻が殺害される、アーサーが市民からたたえられるまでの流れは現実

·アーサーの利き手が変わる部分に意味があると考えると右手のときは何とか穏やかな気持ちでいようとしているときや心が軽くなっているときで、
左手のときは不安.悲しみ.怒りを感じているときや興奮しているときなのかな。と勝手に解釈

·物語の全てがアーサーの妄想だった説は信じない

という感じです。
色々な捉え方で意見をだしたりできる面もあれば、
純粋に全体的な作風を面白く観れる(人によって好き嫌い分かれるのも間違いないだろうけど)面もあり見応え抜群で中毒性もあり、とても好きだ。
あとゲイリーというキャラが魅力的。

ホアキンフェニックスさんの怪演、脚本、ひとつひとつの芸術的なシーン、音楽全てにおいて魂を感じさせられる一作。
甲神山亘

甲神山亘