あきら

ジョーカーのあきらのレビュー・感想・評価

ジョーカー(2019年製作の映画)
4.1
ホアキンすごい!!!
とにかくホアキンがすごい!!!
だがホアキンがすごすぎて、ホアキン頼みすぎない?

捻りがないというか、期待どおりだけど期待以上ではなかったんだよな……

ジョーカーがとにかく弱者で被害者で、搾取されてる匂いが拭えない。
ラストらへんカリスマ然と持ち上げられてるとこですら、ただのアイコンというか、コンテンツとして消費されてる印象。
最初から最後まで、ただただアーサーの悲しみに彩られてたようで、つらいのよな。

だがしかし!このアーサーという人、弱者で被害者ではあったけど、やっぱ壊れてはいたよな。

元々一般的な「普通」についていけなかった人の輪郭が、凶行によって世界とチューニングが合ってゆく感じだった。

きっかけは友(だと思ってた)という他人から受け取った銃だったけど、仮にあそこて銃を受け取ってなかったとしても、いずれこの男ならああなってただろうなって気はするのだ。
そういう意味ではやっぱり元々壊れてたんじゃなかろうか。
人の「普通」って狡さ醜さ図太さも含むものだし、過ぎた純粋さはどこか異様なのだ。

きっかけやタイミングは誰にでも訪れる。
その時になって初めて、自分がどっち側の人間なのかわかるのかもしれないね。
いわゆる善良な人ほど自分の加害性には無頓着なもんだし。

彼にとってはジョーカーになることも道化で虚構で、だったらアーサーという人はどこへいくんだろうね。

ダンスはあれほど美しいのに、走り方はシュッとしてない。そこがすごくアーサー。
思えば最初の狙撃の時だけが、アーサーとジョーカーがぴったり重なって見えた瞬間だったかな。

ダークナイト見直して思い出したけど、ジョーカーは強くはないんだ。けど怖い。とても怖い。
良心も理性もない。
悪意そのもの。
得体が知らなくて怖い。

だけどホアキンジョーカーはあんまり怖くない。
ジョークのセンスって、どこか意地悪な視点に通じると思ってるんだけど、ホアキンジョーカーにあまり笑いのセンスを感じなかったから?

これは本当に狂気なんだろか?
このジョーカーが本当にバットマンを翻弄する悪意の権化になるんだろうか?
とても想像できないので、個人的には続編はいらない派。

あたしが見た彼は、どこまでも傷ついた悲しい道化だったよ。
あきら

あきら