このレビューはネタバレを含みます
認知症の父とその家族の7年のお話。
いろいろと忘れてしまう父を嫌な顔ひとつせず、ずっとそばにいて介護をしていた母。
認知症になるまえは、きっといい父親で旦那だったのだろうって伝わってくる。
娘ふたりも、特に次女は母の呼び出しにすぐ応えてくれて頼もしかった。
こんなふうに家族で支えられるだけで介護って変わる。
記憶が時間毎に巡る。
電車のなかで両親へ挨拶しにきてほしいと言ったとき
遊園地に雨を降るからと傘を持って迎えにきてくれたとき
この2つは特にすき。
父のなかで記憶は過去と現在をぐるぐる巡っていて、ちゃんと覚えているのに忘れてる日もあるだけで、なくなったわけじゃないんだって思った。
ほんとうにずっと泣いていた。
どんな日々も家族で過ごしたかけがえのない時間で、過ぎてしまえば思い出になるけれど、もう二度と味わえない、ありふれているかもしれないけれど、たいせつな時間。
父と母がふたりでくっついて歩いてる姿を見るだけで泣けてしまう。
娘たちも認知症だとわかっていても父に相談し救われて
病室が下だと知って、会いに行ってしまう母がかわいい。
ほんとうにみんな、父のことがすきなんだなって、家族愛に感動したし、家族やたいせつなひとに会いたくなった。
「ロンググッドバイ」
すこしずつ記憶をなくし、ゆっくり遠ざかっていく。
こんなふうに認知症と向き合えたらいいなと思った。