停滞

長いお別れの停滞のレビュー・感想・評価

長いお別れ(2019年製作の映画)
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映画史に名を残す史上屈指のポテサラ映画とぞ言えよう。
蒼井優のファッションが雑誌から出てきたのか?と突っ込みたくなるくらい変化するしオシャレだしで蒼井優目当ての自分としては彼女がポテサラつくってることと合わせて良かった。今度干しぶどう絶対いれる。一つの描写に過ぎないが、このポテサラアレンジは子供がグリーンピースを避けるようにお祖父ちゃんが干しぶどうを箸でつまみどかすのに対し蒼井優がそれをせっせと箸で戻すという行為で認知症になり意図を理解せぬお祖父ちゃんと一般的な人物の差異が示される、認知症という言葉を使わずして、これがポテサラの力。

認知症は物語構造として面白いとおもった。記憶が続かないし荒唐無稽だし突然過去の人間になったり時空を超えた人なのかという言動が飛び出すから映画的結合原理を適用するともっと可能性があると感じだ。この作品では三人称視点だが認知症の人の視点として撮ったりしたら面白いのでは。あなたは誰だ?というとき観客が全く知らない人に「あなたの娘ですよ」と言われるが狼狽せず生活を続け滅茶苦茶なようでいてその人にとって一貫性があるかのような世界を描きたい。
認知症のおじいちゃんとの関係というと実際こんな美談として語れるようなことばかりではないであろうことがひっかかるけどまぁこういう話もあるよね。長女は英語話せなくて精神的には実家があるとはいえ実質的には家族という社会にしか属さない環境にいるって認知症より先にこっちが壊れると思う。この長女もそうだけど登場人物が非常に多い。が故に一人一人の描写に割かれる時間がどうしても短くなり生まれる御都合主義のマイナスが気になった。
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