somaddesign

ヲタクに恋は難しいのsomaddesignのレビュー・感想・評価

ヲタクに恋は難しい(2020年製作の映画)
2.5
テレビで見たい!騒ぎたい!テレビがいい!

:::::::::::

これはアレだ。仲のいい友達や家族、それこそヲタカップルとかでギャーギャーツッコミながら見るのが楽しい映画だ。福田雄一監督作らしいクセの強い演出と、極度に記号化されたキャラやストーリーに拒否反応が出ちゃう人ほどターゲットで、唐突で雑なミュージカルシーンや佐藤二朗が佐藤二郎を演じてるウザさ&ムロってるムロツヨシの福田組のいつものノリにイライラする位で丁度いい。お酒とつまみを一杯用意して、みんなで口角泡飛ばしツッコミながら見るのにオススメ!

自分は「仕事してるシーンがないから、宏嵩が言うほど仕事できるタイプに見えねえ!」「中途入社早々に社内研修であくびってどんな勇気か」「その程度の隠し方でバレないって、どんだけ周りに関心持たれてないんだよ!もしくは周りはアホなのか?」etc…心で罵声を浴びせて見終わってスッキリ。


口コミの低さから覚悟はしてたけど、予想を越えて酷かった。
ヲタクの描かれ方が偏見的だし、作り手にヲタク文化の発信側にも受け手側にも愛が感じられなかった。
そもそもゲーヲタの彼氏とアニオタの彼女が早々にカップル成立してしまうので結ばれるまでの物語がない。

彼女がヲタ趣味を隠さなければいけない理由はなくなってないし、きっとこれからも同好の士以外には隠すんだろう。変態性欲趣味でもあるまいし、今更ことさらに隠すような趣味でもないと思う。ましてIT系で若い社風の会社なら似た趣味の人も多そうなのに。
彼女サイドの後悔や自省・成長ばかりが描かれて、彼氏なりの努力が全て空回りで、よくよく考えたらこの映画、序盤から一歩も物語が進んでねえ!


良かったところは、コメディエンヌとしての面白味を担保しつつも歌と踊りに大活躍の高畑充希。ダンスシーンだけ準備不足を感じることがあったけど、痛々しいアイドルコス含め全編通じて主人公らしい立ち振る舞いがよかった。いちばんの見所は対 斎藤工のシーン。(台本通りなら)上司の延々とした愚痴を内心ウンザリしつつも真剣に聞いてる顔をしないといけないのに、斎藤工があんまり自由に壊れてしまうもんだから思わず吹いてしまう。笑いを堪えるのに必死な顔になっちゃってて、本来はNGだと思うけど何故かそのまま採用になってる。
斎藤工の壊れっぷりと、高畑充希の素がこぼれ出て面白かった。

ことほど左様に、福田監督はよく言えば役者さんの自主性に任せて、その場の思いつきや出来事・ノリを積極的に採用し、想定外の化学反応を引き起こすのが上手だ。悪く言えば全体を俯瞰するビジョンに欠け、小ボケが連続するものの断続的で物語として立ち上がっていかない等々。○○な感じだけが提示され続けて、具体的な味がしない。

山崎賢人は漫画実写化請負人に相応しい出来で、もはや象徴的に居れば許される……それ以上のやりようがない役回りが勿体ないやら身の丈にあってるやら。方やもう一方のケントこと賀来賢人は、ドルヲタの過剰な表現が行き過ぎてて、差別と偏見が二〜三周してきてキモ面白かった。

ヲタクが自身を自嘲気味に笑う自虐ギャグがベースの今作にあって、改めて『自虐ギャグは当事者以外がやっちゃダメ』を認識させられた。

18本目
somaddesign

somaddesign