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居眠り磐音のnoteのネタバレレビュー・内容・結末

居眠り磐音(2019年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

3年間の江戸勤番を終えた坂崎磐音は、乱心した幼なじみを討ち取るよう命じられてしまう。2人の友を1日にして失う悲劇に見舞われた磐音は、許婚の奈緒を残したまま関前を後にし、たどり着いた江戸の長屋で浪人に身をやつすこととなる。昼は鰻割きとして働き、夜は両替商・今津屋で用心棒稼業を始めた磐音だったが…。

育ちの良さからくる品性。物腰がは柔らかく、誰にでも優しく謙虚だが、剣術はめっぽう強い。そのギャップが良い。
「舐めてた相手が実は…」の部類の作品であり、個人的には好物だった。

松坂桃李が正義感が強く、子供や女性に優しいヒーロー像にハマっている。
昔の時代劇と違い、無頼の男らしさを全面に出す感じではないのが現代的で新鮮。

親友を斬らねばならなくなった主人公が、過去を捨て、浪人として生きる。
やがて腕を見込まれて両替商の用心棒となり、そこで貨幣の流通をめぐるいざこざに巻き込まれていき、悪徳両替商を成敗する、昔ながらの分かりやすい勧善懲悪。

主人公の周りに集まる人々も、やはり人情のある魅力的な人物が多く、人との繋がりの大切さを思わせる時代劇ならではの良さがある。
許婚の奈緒との悲劇的な再会も泣ける。
さすが、原作は長期に渡る人気シリーズだけに物語は面白い。

見せ場の殺陣も健闘していて、ワイヤーアクションを使ったりせず、伝統を踏襲しながらもカット割りの細かさでスピード感や緊迫感を表現していた。

ただ「縁側で猫が居眠りしているような」と形容される磐音の「居眠り剣法」があまり生かされていなかったのが残念。
単に型と台詞で説明するだけでなく、なぜ、脱力した状態から「後の先」を取る、いわゆるカウンターを狙う剣法が強いのかを、映像で魅せてほしかった。

それこそ同じ「眠り」の付く「眠狂四郎」の円月殺法のような魅力を放ったかもしれない。
続編があれば、ぜひ達人との勝負で披露してもらいたい。

子どもの頃にTVで見ていた、古き良きチャンバラ時代劇を、奇を衒わずに現代に蘇らせた良作である。
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